多田千明 CHIAKI TADA

 

多田千明さんの「復活の花」は、木という素材がたどる「生と死」の循環を、極限まで研ぎ澄ました造形によって語る彫刻作品です。

伝統的な木彫作品が一本の丸太から形を切り出す「引き算」の芸術であるとするなら、多田さんの行為は、失われゆく木の記憶を丁寧に救い上げ、新たな命の脈動を吹き込む「復活」の儀式です。かって学校のグラウンドで咲き誇った桜の古木や、役目を終えた古材、荒々しい樹皮のままの原木。それらは一見、生命活動を終えた「死」の状態にありますが、多田さんはその中にしなやかな生命の芽を見出してゆきます。

風に震える細い茎。光を透過するかのように薄く削りだされた花弁。多田さんの手から生み出される作品たちの大きな特徴は、見るものが息をのむような繊細さです。
これらは木という素材が持つ特徴を熟知した技術があって初めて成立する表現です。指先の力で折れてしまいそうな儚さは、同時に、コンクリートを突き破って咲く野の花のような、静かで力強い「生」のエネルギーを逆説的に語っています。

「復活の花」は、そこに存在していた木の物語や物質性から時間軸を逆行し、最も美しく輝く瞬間だけを永遠に留めようとする多田さんの試みのようにも思えます。

 


 

1956 大阪府に生まれる

1982 嵯峨美術短期大学 総合美術研究所研究生修了

 

おもな個展

1985 ギャラリー16(京都/’82)

1998 枚方市民ギャラリー(枚方)

2010 ギャラリーはねうさぎ(京都/’96、’05)

2011 ギャラリー中井(京都/’95、’00、’03、’07)

2014 ノートギャラリー(大阪/’13、’16、’25)

 

設置作品

1994 「大海」龍谷大学瀬田キャンパス(滋賀)

1994 「綺羅」明治生命備後町ビル(大阪)

1997 「市民の輪」守口市制施行50周年記念モニュメント(大阪)

2001 「ジオラマ」枚方市鍵屋資料館(大阪)

2002 「レリーフ」広島国際大学(広島)

2005 「綺羅」ホテル阪急エキスポパーク(大阪)