佐川さんの表現は、現代の美術における「言葉と美術」の関係を、極めて肉体的なアプローチで更新する試みと言えます。
現代アートの根源ともいえるコンセプチュアル・アートにおいて言葉は「思考の記録」として機能していました。
しかし、佐川さんは「解キ放テ」「ドキドキ」「君と僕」といった若き日に誰もが感じたであろう極めてエモーショナルな言葉を、巨大な彫刻へと実体化させます。
そして、それを自ら背負い、富士山や屋久島、さらにはモロッコやニューヨークといった場所でパフォーマンスを敢行する姿は、現代における一種の「巡礼」のようでもあります。
ニューヨークでは作品が商売の邪魔だとホットドッグ屋のおじさんに叱られるといった、日常の境界線で起こる摩擦さえも、作品がはらむ「物語」の一部となってゆきます。
この「巡礼」のなかで近年取り組んでいる「インスタント・パワースポット」の制作も、本来は長い年月を経て形成される「聖性」を、現代的な軽やかさ、簡単に手に入れることのできる「情報」で、インスタントに再構築する批評的な試みです。
青春の残響を、重みを伴う物質へと変え、自らの体で運び巡礼する。佐川さんの作品は、情報の海に漂う現代の「言葉」に、もう一度確かな手触りと魂を吹き込んでいるのです。
1983 大阪生まれ
2005 大阪芸術大学短期大学部専攻科修了
おもな個展
2006 「そろそろいこうか」GALLERY wks./大阪
2008 「ザ・タイミングマシーン」GALLERY wks./大阪
2009 「FUJI ART FESTIVAL'09」GALLERY はねうさぎ/京都
2010 「動と脳 why」GALLERY はねうさぎ/京都
2012 「orz」GALLERY wks./大阪
2015 「ROCKING LIFE」ART SPACE ZERO-ONE/大阪
2016 「インスタント」ノートギャラリー/大阪
2018 「Rocking Life」ノートギャラリー/大阪
2023 「インスタントパワースポット 縁むすび」自然大観展望台 六甲枝垂れ/兵庫
2024 「インスタントパワースポット~いつもロックンロールをきいていた~」ノートギャラリー/大阪
おもなグループ展
2008 「GEISAI♯11」 ビックサイト/東京
2009 「After School・放課後の展覧会」 元立誠小学校/京都
2010 「上畠アート2010」富山県利賀村上畠地区 '11
「Art Court Frontier 2010 ♯8」アートコートギャラリー/大阪
2013 「アート イン レジデンス」モロッコ
2014 「六甲ミーツアート」 ’18、’19/兵庫
2019 「京都国際映画祭」 岡崎公園参道に作品展示
2021 「文字からの世界線 佐川好弘キュレーション」KUNST ARZT/京都
2022 「あまがさきアートストロール~Produced By 六甲ミーツ・アート 芸術散歩」尼崎駅前/兵庫
2024 「パワーワード展」自然大観展望台 六甲枝垂れ/兵庫