19901年生まれ。漫画・アニメを中心とした日本のキャラクター文化を背景に、絵画表現の新たな可能性にチャレンジています。
でのさんの作品の根底には、少年時代から呼吸するように触れてきた「漫画」という文脈が存在します。展開するシリーズ作品では漫画が持つ記号的な力と、絵画が持つ物質的な偶然性を衝突させることで、自身における「キャラクター」の在り方を提示しています。
壁の汚れや、偶然に広がったインクや絵の具のシミを手掛かりにモンスターを描き出すシリーズ作品「でのッタージュ」はシュルリアリスムの技法「デカルコマニー」や「フロッタージュ」を思い起こされます。日本のキャラクター文化における「異形のもの」への親和性と、抽象画のような無意識のストロークが混ざり合い、画面の上にユーモラスでどこか不穏な生命体を出現させます。
それは、デジタル化された現代において、汚れというアナログなノイズから物語を紡ぎ出す現代の神話制作とも言えます。
さらに、漫画雑誌など特有?の出来事である突如の「連載打ち切り」をテーマにした大型作品「俺たちの戦いはこれからだ!!」シリーズ。理不尽に物語の強制終了を告げる最後のページを巨大な画面に描き出すことによって、フィクションを現実にも起こり得る物語として私たちに突き付けてきます。この喪失感や未完の美学を感じさせる「メタ的な終止符」を、緻密な線描と圧倒的なスケールで描き直すことによって、サブカルチャーとしての漫画を「現代の歴史画」に変えてゆきます。
でのさんは漫画を単なる「スタイル」として引用するのではなく、その構造や読書体験そのものを解体・再構築してゆきます。絵の具の飛沫から生み出されるモンスターたちは、ドローイングの肉体性を。巨大な漫画の最終回のページは、物語の公共性を。私たちは「サブカルチャー」と「アート」の境界線上を体験することになります。
個展
2014 「でのッタージュ展」(MU東心斎橋画/大阪)
2017 「あいあむじゃぱにーずぼーい」(Linlow/大阪)
2025 「俺たちの戦いはこれからだ!!」(ノートギャラリー/大阪)